生きた、本物のフィエスタ

昨夜は高円寺のタブラオエスペランサにて、フィエスタを楽しんできました。


fiestaフィエスタ=お祭り、パーティー


の意味合いです。

フラメンコにおけるフィエスタは決してただの馬鹿騒ぎではありません。ステージ上ではなく、バルで、お酒やタバコ、仲間との会話を楽しみながら自然発生的にフラメンコ、特にcante(カンテ、歌)を楽しみます。


ものすごいエネルギー、ものすごい盛り上がりの一方、影には繊細で厳かなrespeto(尊敬の念)、humildad(謙虚さ)、そして良きaficionado(愛好家)としての振る舞いがとても重要で、皆その一線を踏み超えることはありません。


なんて崇高な遊びなのだろうと、常に感心します。




昨日はひとり年長者の熟練カンタオールがいて、(まわりも相当な顔が勢ぞろいだったのですが)皆が口々に

「◯◯のレトラを歌ってくれ」

などとリクエスト。

それに対し年長者は気前良く、心からのカンテで応えます。(周りは心からの尊敬の念のこもった、óle)

「このレトラは、◯◯が歌っていたレトラだ」

「コンパスを変えても、こうやっても歌えるんだ」

など、sabiduría(知識)は尽きません。



お酒を飲んで、歌って、楽しく過ごしている一方で

年長者の知識・見聞に満ちたcharla(お話)を注意深く聞き、それにまた盛り上がる。お話も、彼らにとってフィエスタの立派な一要素なのです。



彼らはそうやって日常の中でフラメンコとともに生き、先人たちから学び、継承してきたのですね。わぁ〜。



踊り手も数多くその場に居たにもかかわらず、時間のほとんどが「カンテ」と「お話」に費やされていたことは、とても興味深いです。



このような濃密なmomento(瞬間)に立ち会えることこそが、私にとって何よりの宝物です。