セビジャーナスの詩

今日のテーマは、【フラメンコの歌詞を詩として見る】
たまにこういうオタク研究もしています笑。フラメンコの歌詞を日本語に訳すことは今までたくさんしてきたけれど、日本でいうところの俳句のように、詩自体の構成に決まりがあるとまでは考えてこなかった。(たまに、韻踏んでるなぁ、くらい。)が、これがわりと面白いです。

たとえばセビジャーナス。古くからの詩もあれば、毎年新たに作詞作曲されるものもあります。当たり前ですけど、適当に思いつくままに書いてるんじゃないみたい。セビジャーナスの詩法(métrica、詩を書くときの決まりごと)は次のとおり。

音節数7,5,7,5の4行詩(2,4行目で韻を踏む)


音節数5,7,5の3行詩(1,3行目で韻を踏む)

、、だそうです(^^;)
ちなみに後者はestribillo(サビ、繰り返し)となり、1番から4番まで繰り返されるそう。どういうことでしょうか。

たとえば次の歌詞。通称「ミララ」。日本では絶対に最初に習うセビジャーナスの歌。私だけ?笑

本当のタイトルは"SEVILLANAS PARA CONQUISTAR”といいます。conquistar=征服する、口説き落とす
女性を口説くためのセビジャーナス、の意です。たとえばこの詩の1番


Mírala cara a cara
que es la primera
y la vas seduciendo
a tu manera

Esa gitana
se conquista bailando
por sevillanas


分解!!


Mí/ra/la/ ca/ra a/ ca/ra 
que es/ la/ pri/me/ra
y/ la/ vas/ se/du/cien/do
a/ tu/ ma/ne/ra

E/sa/ gi/ta/na
se/ con/quis/ta/ bai/lan/do
por/ se/vi/lla/nas


上の4行詩。音節数7,5,7,5。2行目と4行目がeraで韻を踏んでいる。

下の3行詩。音節数5,7,5。1行目と3行目がanaで韻を踏んでいる。(本当はセビジャーナスの韻は母音のみ揃っていればok)

音節の数え方に関してはいずれまた(^^;;

たしかにセオリー通りでした!

👏👏


ついでに私なりの訳も書いておきます。なるべく直訳で。セビジャーナスって、男女がペアで踊りますので、その場面をイメージしながら読んでみてください。


彼女を見て、顔を見合わせて

(セビジャーナスの)1番だよ

きみは彼女を誘惑していく

きみなりの方法で


そのヒターナ(ジプシー女性)は

恋に落ちていく

セビジャーナスを踊りながら


2番以下はこちら。

II
Mí/ra/la/ ca/ra a/ ca/ra
que es/ la/ se/gun/da
có/ge/la/ por/ el/ ta/lle
las/ ca/ras/ jun/tas

彼女を見て、顔を見合わせて

(セビジャーナスの)2番だよ

彼女の腰に手を添えて

顔を近づけて


III
Mí/ra/la/ ca/ra a/ ca/ra
que es/ la/ ter/ce/ra
y/ ve/rás/ con/ que/ gra/cia
te/ za/pa/tea

彼女を見て、顔を見合わせて

(セビジャーナスの)3番だよ

きみは見るでしょう、どんなに愛嬌たっぷりに

彼女がきみに向かって足を打つか

(3番の振り付けは足打ちが入りますから(^^))


IV
En/ la/ cuar/ta/ los/ lan/ces
de/fi/ni/ti/vos
que/ se/ sien/ta en/ su/ vue/lo
pá/ja/ro he/ri/do

4番は局面を迎えます

決定的な

彼女がその飛行中に

傷ついた鳥のように感じるよう


彼女がついに手中に落ちたってことかな〜

4番は個人の解釈でどうぞ(^^;;



これとは異なる構成のセビジャーナスもあるそうで。
それもまた次回☆